RUNEプロデューサー谷口より

大陸には、一つの伝承が残されている。
かつて世を滅ぼさんとした魔神は、神の怒りによってその身を一枚の小さな
カードに封じられた。
神は魔神が二度とその力を用いぬよう、大陸の何処かにそのカードを納め、
その扉を開く鍵を五つに分けて、人間に授けた。
永劫に魔神が目覚めることの無きようにと……。

始まりは小さな出来事だった。
そこにあるはずの木や岩が、一夜にして姿を消していた。
人々はあまり気にもとめなかった。
その上空に、不気味な暗雲が立ち込めていることにも…。

人々がその異常に気付いたのは、小さな森が一つ消えたときである。
昨日まで森だったはずのその場所には、闇そのもののような黒い霧があった。
森の様子を知ろうと、何人もの人間が霧の中へと分け入ったが、
戻る者は一人としていなかった。
森の次は湖が、そしてその次には町が一つ…と消えていった。
残されたその場所には、全てを飲み込むような黒い霧が立ち込めているのみだった。

古き盟約に従い、
互いに不干渉を続けてきた五人の王たちは数百年ぶりに一同に介し、
この怪異について論じ合ったが、答えを持つ者は誰一人いなかった。
人々は噂しあった。魔人が蘇ったのだと――。

大陸の中央部に位置する王国、オランジュの王城は、今まさに危機に陥っていた。
地の底から突如現れた黒い霧が、瞬く間に城を覆い始めたのである。
暗闇の中を逃げ惑う兵士たちを尻目に、父王の留守を預かっていた
王女カティア=ジェルベールは、一人城の宝物庫へと向かっていた。
「王家に生まれし者、その命に代えても守り抜くべし」
父王に託されたその言葉を果たすためである。

王女が、宝物庫の奥深くに納められていたその小さな箱を開いたそのとき、
黒い霧は城のすべてを覆い尽くした。
王女の手の中には、漆黒の闇の中で光を放つ奇妙な宝石と、一束のカードがあった。